Home  > Blog 「銀河ステーション」

銀河ステーション(Kyoichi's Blog)

ある日の空34 「海上黎明」

日本海の黎明

北海道の旅には、新日本海フェリーを使うことが多かった。
函館行きは別で、これは飛行機を使っていたし、寝台特急北斗星のファンでもある。
だが、道北や道東を廻る場合には、往路は新潟~小樽航路、 帰路は苫小牧~秋田~新潟航路が便利だった。


小樽に早朝着いて日本海沿いを北上すると、昼ご飯は稚内で食べられる。
宗谷付近で泊まって、オホーツク沿いに網走を目指す。
そんなパターンが定着していた。
道東の好きな場所でテントを張って、大自然に包まれた年に一度の幸せな数日間を過ごす。
木陰で珈琲を飲んだり、海を眺めながら露天風呂に入ったり、サイトに現れる野生動物にレンズを向けたり……。


道内最終日は美瑛付近で泊まると、午後ゆっくり出たとしても、19:00過ぎに苫小牧東港を出るフェリーには余裕で乗れるのである。
早めの昼ご飯を摂れば、十勝の山奥、東大雪からでもこのフェリーには間に合う。
初日は兜沼公園キャンプ場稚内森林公園キャンプ場さるふつキャンプ場、 最終日は、国設白金野営場国設然別峡野営場あたりがお気に入りだった。


過去形でしか語れないのがつらい。
仕事が忙しくて、数年来、新日本海フェリーに乗ってはいない。
目を閉じると2等寝台(現在はツーリストBというらしい)の狭いベッドに響くエンジンの振動が蘇る。


写真は、秋田港入港前のフェリーしらかばのデッキ上から撮った日本海の黎明。
不明にして沿岸の知識がないのではっきりしないが、男鹿半島沖だろうか。
左手の岬には灯台の灯りがかすかに写っている。
今となってはなつかしい8月終わりの景色である。


  関連エントリー

ページ移動

ユーティリティ

Kyoichi's Blog

Author

第6回角川春樹小説賞を受賞し『私が愛したサムライの娘』でデビューしました。同作で第3回野村胡堂文学賞を受賞。
歴史時代小説とミステリを書いています。20年来のフラメンコファンです。

Entry  Search

エントリー検索フォーム
キーワード

Books


『神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜5 鎮魂のランナバウト』

『神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜4 テディベアの花園』

『鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿 稲村ヶ崎の落日』

『警察庁ノマド調査官 朝倉真冬 男鹿ナマハゲ殺人事件』

『脳科学捜査官 真田夏希 イリーガル・マゼンタ』

『脳科学捜査官 真田夏希 ナスティ・パープル』

『神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜3 夕映えの殺意』

警察小説アンソロジー『偽りの捜査線』

『SIS 丹沢湖駐在 武田晴虎Ⅲ 創生』

『おんな与力 花房英之介 【四】』

『警察庁ノマド調査官 朝倉真冬 網走サンカヨウ殺人事件』