Home  > Blog 「銀河ステーション」

銀河ステーション(Kyoichi's Blog)

「素晴らしき一夜」

桜の季節――塩尻にて(撮影:鳴神響一)

昨夜は春の嵐が湘南地方を襲った。 そんななか、僕は卒業以来たぶん初めての高校の同窓会に参加した。 三年生の時に担任して頂いた社会科のH先生がご勇退なさったので、 先生を囲んで、感謝の気持ちをお伝えしようという会だった。
「マスメディアの情報を鵜呑みにしてはいけない」 先生のお教えを、僕は十八歳の時から忘れた日はなかった。 僕の精神形成の上で、大恩ある師なのである。
パーティー会場は同窓生の七菜さんのお店。 『オーガニック七菜』(湘南店)である。 自然食のお料理はびっくりするほど美味しかった。 やさしさと愛と誠意がぎっちり詰まった一品一品だった。
素晴らしいお料理にも増して驚いたことは、 三十年を超える長い長い年月を隔てて再会した同窓生たちなのに、 まるで、昨日教室でさよならしたばかりのように、 すんなりと話せたことである。
若い日々を同じ空間で過ごしていたことが、 こんなにも素敵な、人と人とのつながりを造るものかと、 なんだか、すごく嬉しくなった。
七菜さんがご用意下さった会場はあまりに居心地がよく、 吹きすさぶ春の嵐から僕たちを優しく護り、 気づいてみれば、日付が変わっていた。 僕にとって一生忘れられない一夜となった。
会を企画して下さったMさん、いろいろとお心遣い頂いたSくん、 声を掛けて下さったDくん始め 皆さん、本当にありがとう。

ある日の空42 「みちのくの小京都」

角館1

この前の連休に、取材を兼ねて「みちのくの小京都」と呼ばれる 秋田県の角館を訪ねた。
しだれ桜で有名な武家屋敷は、想像していた以上の規模だった。
久保田藩の支藩である佐竹北家は、一万五千石の石高に過ぎないのにも拘わらず、優雅な佇まいの美しい町並みが残っていた。
いちばん驚いたのは、街の規模にそぐわぬ目抜き通りの道幅である。
現代の自動車道路としても、ゆとりを持って対面通行できる幅員を持っている。
傘を差したままのすれ違いが難しい道が珍しくないほど、城下町の道は狭いことが多い。角館の街を築いた人々は、先見の明があったとしか言いようがない。

角館1

幸い好天に恵まれたが、盆地の冬の底冷えは厳しかった。
武家屋敷の青柳家石黒家を廻っている途中で、歯の根が合わなくなってしまった。
もっとゆっくり、見学したかったので、残念だった。
しんしんと冷える秋田の冬を、ちょっと甘く見ていたようだ。
帰ってきてから、次に訪ねるときのために、パタゴニアのキャプリーン4というベースレイヤーを買ってしまったほどだ。

角館2

19時過ぎのこまちに乗る前に震え上がった身体を『しちべえ』のキリタンポで暖めることができた。
歴史的建造物を活かしたインテリアもシックなお店である。
比内地鶏は、スープも肉も最高に美味かった。


先月の半ばから、シェリー酒の本場、ヘレスに行っている島崎リノさんは、アンダルシアの名物料理に舌鼓を打っているだろうか……。


¡Ole! Flamenca! 1 「島崎リノさん」

エルフラメンコのステージの後で

島崎リノさん
『エル・フラメンコ』のステージの後で
(撮影:鳴神響一)

フラメンコを踊っている友人から、フラメンコにまつわる話も聞きたいとの仰せがあった。
そこで、ほかのシリーズと併せて、僕の大好きなフラメンコ・アーティストたちをご紹介するシリーズを始めてみたい。
題して『¡Ole! Flamenca!』 オレ! フラメンカ!
とは言っても、例によって、ブログに向かう時間がなかなか確保できないので、かなりゆっくりとしたペースになってしまうと思うが……。
第一回は島崎リノさんである。

僕がリノさんに始めてお会いしたのは、六年前の八月だった。
友人の美女、Mさんのステージがあるというので、八王子にあるタブラオ(フラメンコ酒場)の『グランデセオ』に、イソイソと出かけて行ったのだ。
その日のステージは二人ほど名の知れたバイレ(踊り手)が出ていたが、トリをとったのは一人のヒターナだった。

彼女のソロに僕の目は釘付けになった。
全身、まさにバネ。
あまりにも表情が豊かでパワフルだった。
時に明るく華やかで、時に切なくセクシーで、背中がゾクゾクするほど心を打たれた。
生きる喜びと哀しみを、強く強く僕の心に訴えかけてきた。
(さすがに、ヒターナの踊り手は違うなぁ)
僕の心に、フラメンコが日本人の手に余る文化なのではないかとの疑いが兆した。
ソロが終わると、目ヂカラの印象的なヒタニージャは、マイクを手にした。
「えー、今日はこんなに暑い中、グランデセオのステージに来てくれて、ありがとうございました」
(えっ?……日本人だったの?)
「みなさん、日々の暮らしの中で、嫌なこととか、いっぱいあると思います。今夜は、少しでもすっきりして下さって、おうちに帰って頂けたら、本当に嬉しいです」
ほかのステージでは聞いた記憶のないような、観客への思いやり溢れたMCが続いた。
それが島崎リノとの出会いだった。

その頃のリノさんは、『グランデセオ』で店長を務める傍ら、ライブの日には、自ら踊っていたのだった。
月日は流れ、ステージに何度も伺うちに、リノさんの踊りと人柄を、僕は深く敬愛するようになっていった。
なんと言っても、リノさんのフラメンコは、表現豊かである。
彼女の感じてきた憧れ、歓び、驚き、哀しみ、悩み……。
たくさんの恋や蹉跌、そんなリノさんの人生の軌跡が、ひとつのヌメロ(演目)の中に、いっぱいに詰まっている。

なんと言っても、リノさんのフラメンコは造形的である。
すべての身体の動きに恐ろしいほどの美意識を感じさせる。
彼女の創り出す身体の動き一つ一つが、アートとしての立体造形に見える。
多摩美術大学で彫刻を修めた造形家ならではと思う。

なんと言っても、リノさんのフラメンコはパワフルである。
舞台の限られた空間をすみずみまで活かして、力いっぱいに情熱を表現する。
出会ってすぐの頃は、ステージが終わって、近くに寄って行くと、「こんなに小柄な人だったのかぁ?」と驚かされたものだった。
一昨年だったか、夏の暑い日。
リノさんとお弟子さんたちと一緒に六本木へ飲みに行ったときにも、サルサ・バーで渾身のパワーで朝まで踊り狂うリノさんに、本当に驚いたものである。
僕は見ているだけで、ぶっ倒れそうになった。スタミナあり過ぎなのだ。彼女は……。

なんと言っても、リノさんのフラメンコは客目線である。
ステージが沸く。客が喜ぶ。フラメンコで、みんなが幸せになる。
リノさんの踊りへのモチベーションは、客席の満足を創り出すことにあるように思う。
それでいて、彼女の踊りは、凜として、媚びを感じさせない。

2009年日本フラメンコ協会新人公演バイレソロ部門準奨励賞受賞。
2010年日本フラメンコ協会新人公演バイレソロ部門奨励賞受賞。

フラメンコ協会の新人公演奨励賞というのは、新人に対してではなく、いま、旬のフラメンカに与えられる輝かしい栄誉なのである。
が、僕に言わせれば、もっと早く獲っているはずの賞であった。
奥ゆかしいリノさんは、このコンテストに初めて出る前の年2008年に、スペインはバレンシア州、地中海に臨む古い港街アリカンテの タブラオに出演して好評を博している。
まさに満を持してのコンテスト出場だった。

新宿にて

新宿にて。ちょっとアンニュイなオフのリノさん。
(撮影:鳴神響一)

ああ、島崎リノという絶対矛盾的自己同一。
ヒターノと見紛う純日本人。
姐御肌の傷つきやすい可憐な女性。
嵐の地中海のように激しく、生まれたてのヒナの羽毛のように繊細。
トレドの城壁のように強く、エンカヘ(スペインのレース生地)のように弱い。

自分の文章能力に、まったく自信がなくなってきた……。
それほど、彼女は不思議な魅力を持った女性である。
だが、島崎リノのステージには、いつも、アンダルシアの風が吹いている。
僕はそう感ずるのである。
とても、語り尽くせないので、第二回に続く……。わはは……。

リノさんのステージをご覧になりたい方、
リノさんにフラメンコを習ってみようかな、
という方は次のサイトをご覧下さい。
リノさんは八王子、高田馬場、北柏で教室を開いています。

フラメンコ舞踊家 島崎リノ公式サイト

※サイト内のすべての人物写真について、無断転載・二次利用をお断りします。

あけましておめでとうございます! 2013

あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます!
旧年中はお世話になりました。
今年は、もっと頑張ってみたいと思っております。
今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
鳴神響一

ある日の空41 「昨日の夕暮れ」

夕暮れ1
しばらくブログに向かう時間がとれなかった。
夕暮れ2
寒くなってきたが、夕暮れが美しい日も多い。
夕暮れ3
昨日の湘南海岸も、表情豊かに暮れていった。

ユーティリティ

Kyoichi's Blog

Author

第6回角川春樹小説賞を受賞し、『私が愛したサムライの娘』でデビューしました。
同作で第3回野村胡堂文学賞を受賞しました。
フラメンコファンです。

Ranking

にほんブログ村 小説ブログ 小説家へ

フラメンコ ブログランキングへ

Entry  Search

エントリー検索フォーム
キーワード

Books